【ミニコラム】猫めし~わたし色の一食~十八膳目

【ミニコラム】猫めし~わたし色の一食~十八膳目

2023 ⁄ 02 ⁄ 16

猫めし」シリーズでは、「なんとなく食欲がわかない」「食べづらい食材がある」……といったご経験がある方からの、

「今日はこれを食べてみたよ!」
「この食材、こんな食べ方もあるよ!」

のお声を紹介していきます。

「質素なちらし寿司」by 厚あげさん(横紋筋肉腫*・成人)

*横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)について、詳しくは 国立がん研究センター希少がんセンター「軟部肉腫(なんぶにくしゅ)」 の情報をご参照ください。

 

私の「猫めし」は、 質素なちらし寿司 です。 

 

長期入院と副作用のオンパレードで、私の体から食欲が完全に消滅しました。

点滴と少しの栄養補助食のみで過ごす毎日に耐えきれず、当時2歳と5歳だった子ども達と一緒に桃の節句をお祝いさせてほしいと無理なお願いをし、外泊させてもらいました。

生ものが禁止だったため、自宅で用意してもらったれんこんとしいたけが混ぜ込まれたちらし寿司には、桜でんぶと錦糸たまごが飾られているだけでしたが、久しぶりに口から栄養をとれた感動は今でも鮮明に覚えています

さっぱり酢飯は口当たりがよく、ピンクや黄色のトッピングを見て、桜や菜の花を想像しつつ、数カ月ぶりに食事を楽しむ感覚を味わいました。

その後、季節の移ろいを感じにお出かけしたいという気持ちが強くなり、目標にもなったのです。

消滅していた食欲も少しずつ復活し、モノクロの世界にいた私に彩を与えてくれた質素なちらし寿司。

今でも海鮮たっぷりの宝石箱のような豪華なものではなく、質素なちらし寿司が私にとっては特上なのです。

 
※記事の内容はその方個人の感想・体験です。すべての人に当てはまるものではありません。